軽井沢の転落事故から1年。「ストライキ」について考える。

2016年の暮れのこと、
軽井沢の転落事故から1年を迎えるにあたり
共同通信社の取材を受け
バス業界の現状や課題などについて
私なりの意見を述べさせていただいた。

今回は取材の備忘録として
『川崎鶴見臨港バスのストライキ』
について書いてみようと思う。

2016年12月4日、
川崎鶴見臨港バスが36年ぶりの
ストライキを決行したことが話題となった。

ちょうど、取材を受けたのが
ストライキの直後であったため、
この話題に触れさせていただいた。

■ストライキの背景

まず、ストライキの概要を触れておこう。

バス運転士と言えば、
規制緩和による価格競争の影響から
低賃金を余儀なくされていることは
周知のことだと思う。

そのため、一般的な労使交渉では
「賃金アップ」に主眼が置かれるのだが
今回、臨港バスが訴えたのは「中休」だ。

中休とは、

【1日目】
 5:00-11:00(中休)17:00-21:00

【2日目】
 5:00-10:40(中休)17:30-21:30

【3日目】
 5:30-10:00(中休)15:00-20:00

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このように、朝と夜のピーク時に乗務し
運行本数が少ない昼間は休憩として扱う
バス業界特有の勤務形態である。

そして、この中休は「休息時間」にも
影響を与えている。

休息時間とは、一日の乗務が終了し
翌日出勤するまでの時間のことで、
基準では8時間以上とされている。

例えば、21時に退勤した場合、
8時間の休息を挟んで翌朝5時から
乗務させることができる。

しかし、現在の基準では毎日このような
乗務に従事させてもおおむね問題ない。
(※細かな基準はあるが…)

今回のストライキでは、

「全勤務の4割以上が中休勤務であるため
長時間拘束=短時間休息により
安全が確保できない!」

と、改善を組合側が訴えたわけだ。

確かに、8時間休息と言われても
通勤・食事・入浴などを差し引けば
睡眠は6時間にも満たないだろう。

これが全勤務の4割以上となれば
悲鳴が上がるのも納得できるし
疲労による事故リスクも否定できない。

さらに怖いのが睡眠不足による
高血圧や脳卒中など生命に関するリスクだ。

昨今、運転中に突然意識を失った
運転士による事故が散見される。

運転士の急変は事故に直結するため
組合の主張する「カネより安全」との
主張は的を射貫いている。

最後に、公共事業者はストライキに
訴えることがなかなかできない風潮があるが、
今回の臨港バスのストライキによって
勇気づけられる組合も多いと思う。

同時に「運転士の乗務基準が厳しくなった」
と言われても、まだ甘い基準であるため
欧州並み(休息11時間)に基準を
強化しなければ、身体問題からの事故は
なくならないだろう。

「稼ぐためには、走らなければならない」

このようなブラック企業的な考え方から
転換する好機になればと願っている。

プロフィール

長年勤めたウェディング業界から路線バス運転士に転職したアラフォーの「こーくん」。メルマガのバックナンバーを公開しています。
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