軽井沢のバス事故から1年。運転士の賃金は変わったのか?

軽井沢の転落事故からまもなく1年。
(本稿は2016年に掲載しています)

共同通信社の取材を受け
バス業界の現状や課題などについて
私なりの意見を述べさせていただいた。

今回は備忘録の第二弾として
「現場はどうかわったのか」と言うテーマを
「賃金面」から考えてみる。

前回…

価格競争による減益は人件費削減として
運転士の生活を直撃し、
離職・求職者の減少・既存運転士の負担増など
負のスパイラルを誘発した。

その結果、

「とにかく、免許があれば実車投入」
「なりふり構ってられない」

と、旅客輸送の根幹である「安全」を
ないがしろにした事業者が
生まれてしまった。

そして、悲惨な事故を受けて国交省は
価格競争に歯止めをかけるべく
最低運賃(新料金制度)を導入した。

と解説した。

【参考】第1回の記事リンク
↓↓
「規制緩和の副作用」

では、
運転士の賃金は変わったのだろうか?

残念ながら、何も変わっていないのが
現実であろう。

まず、最低運賃が導入されたことにより
バス事業者の収入は増えたと
思うかもしれないが、その増えた収入が
運転士に還元されるとは限らない。

話は少しそれるが…

月収50万円でお小遣い月5万円の
妻子持ちのサラリーマン。

あるとき、会社の経営が悪化し、
月収が30万円にダウンしたため
お小遣いが月3万円にダウンした。

数年後、このサラリーマンの
月収は50万円に回復した。

ここで問題。

月収が月50万円に回復したとき、
このサラリーマンのお小遣いは
経営悪化前の月5万円に戻るだろうか?

恐らく、
「5万円にお小遣いを戻す」
と言う回答は少なく
「家計状況を見極めて判断する」など
消極的な意見が多いだろう。

余談ではあるが、
同じ質問を私の家内にしたところ
「5万円はないでしょう!」と
笑顔でスルーされてしまった(泣)

もちろん、家計事情は家庭ごとに異なるが
このような慎重論がバス事業者にも
垣間見える。

つまり、

「給料を上げてしまうと、
簡単に下げることができないから
増収になっても様子見」

と言うわけである。

もちろん、新料金制度の導入は
平成26年4月からであるし、
日本企業の多くが収益を内部留保に
まわしてしまう実情を考えると
バス業界だけに即効性を求めるのは
ナンセンスかもしれない。

しかし、賃金が低いままでは

「稼ぐためには残業や休日出勤を
しなければならない」

と言う劣悪環境は変わらないだろうし、
金銭的な魅力を求職者に与えることは
できず、人材難からの負のスパイラルは
延々と繰り返されるだろう。

バスは車両があっても運転士がいなければ
走らすことはできないし、人命を預かる
バス運転士の責任もきわめて大きい。

もし、バス事業者の収益が多少なりとも
改善されているのであれば
事業の根幹である「人」への投資について
考えてほしいのが切なる願いである。

プロフィール

長年勤めたウェディング業界から路線バス運転士に転職したアラフォーの「こーくん」。メルマガのバックナンバーを公開しています。
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