軽井沢のバス事故から1年。「規制緩和の副作用」について考える。

軽井沢の転落事故からまもなく1年。
(本稿は2016年に掲載しています)

「事故から1年を迎えるにあたり
運転士の声を聞きたい」

2016年暮れのこと、
共同通信社の取材を受け
バス業界の現状や課題などについて
私なりの意見を述べさせていただいた。

その備忘録と言うわけではないのだが、
事故から1年を迎えるにあたり
改めてバス業界の現状について考えてみた。

なお、記事はあくまで私見であることを
あらかじめご理解いただきたい。

■軽井沢スキーバス転落事故とは?

本題に入る前に、
まず事故について軽く触れておく。

2016年1月15日深夜、
長野県軽井沢町の入山峠付近を走っていた
大型観光バスがカーブを曲がりきれず
ガードレールを突き破り崖から転落、
乗員乗客あわせて15人の命が失われたのが
「軽井沢スキーバス転落事故」である。

■規制緩和の副作用

さて、この事故を招いた直接的な原因は
運転士自身が大型バスの運転と
深夜業務に不慣れだったこととされた。

実際、一口に「バス」と言っても
マイクロバスと大型バスでは車両特性が
全く異なるため、同じ免許だからと言って
簡単に運転できるものではない。

しかし、事故車両を運転していた運転士は
マイクロバスの運転が主体で
大型バスの運転歴はほとんどなかったそうだ。

そして、十分な教育もないまま
深夜の山道でハンドルを握らされた。

恐らく、この環境を他の運転士が聞いたら
「無謀」「無茶」などと答えるだろう。

しかし、無謀でも運行せざるを得ない
経営環境に追い詰められていたと
私は思っている。

それが「規制緩和の副作用」である。

2000-02年、
当時の小泉政権下で行われた規制緩和。

「市場の競争原理による質の向上」

と言う目論見とは裏腹に
新規参入事業者が増えすぎてしまい
熾烈な価格競争を招いてしまった。

価格競争による減益は人件費削減として
運転士の生活を直撃し、
離職・求職者の減少・既存運転士の負担増
など負のスパイラルを誘発した。

しかし、

バスを走らさなければ利益にならない。
でも、バスを運転する人がいない。

その結果、

「とにかく、免許があれば実車投入」
「なりふり構ってられない」

と、旅客輸送の根幹である「安全」を
ないがしろにした事業者が
生まれてしまったのである。

国交省はこの事故を受けて
価格競争に歯止めをかけるべく
最低運賃を導入するとともに、
運行管理体制を強化するために
営業所ごとの運行管理者の人数や
資格取得の基準が引き上げることになった。

では、現場はどう変わったのだろうか?

続きは次回。

プロフィール

長年勤めたウェディング業界から路線バス運転士に転職したアラフォーの「こーくん」。メルマガのバックナンバーを公開しています。
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