バスの修理代は運転士の自腹!?

「10万円飛んでいったよ…」

転回場で休憩していると
50歳代の運転士が語りかけてきた。

「それは、大変でしたね」

少し真顔で返答する私だったが、
その運転士は深刻に語ると言うより
「やっちまったな」と言う感じだった。

ちなみに、この「10万円」とは
接触事故を起こした運転士が
会社に支払うバスの修理代のことだ。

バスに限らず車を運転する以上、
事故と無縁でいられない。

人身事故は別にして、
バスやトラックなどの大型車は
車体幅が広く車長も長いため
接触事故のリスクは非常に高いと言える。

●左折時にガードレールや縁石に接触した。
●電柱や標識にサイドミラーを当てた。

実際、このような接触事故は
かなりの頻度で発生している。

「それでも、プロの運転士なの?」

と思われるかもしれないが、
個人的には”酷な話”だと私は思う。

と言うのも、
運転士が乗務するバスは毎日同じではない。

みなさんも普段乗っているマイカーと
異なる車(レンタカーなど)に乗ったとき
運転感覚に戸惑った経験があると思うが
バスも全く同じことが言える。

●1日目はFUSOの中型車
●2日目はISUZUの大型車
●3日目の午前中はFUSOの大型車
 午後からHINOの小型車
●4日前はHINOのハイブリッド車

と言った感じで車種や大きさは日によって
異なるのが一般的だ。

ただでさえ車両感覚をつかむまで時間が
かかるのに公共施設や商業施設を結ぶために
大型車の通行が困難な狭い道路や生活道路を
無理やり走らされることも多いため
かなりの集中力を要する。

路線バスである以上仕方ない話だが、
このような状況でも運転士が事故を起こせば
多少なりとも修理代を負担しなければ
ならないのが現状である。

さて、修理代を負担する理由のひとつは
自己責任に相当する「免責」である。
それは理解できるが、
実は免責の金額以上に負担させられる
ケースもあると聞く。

それが『事故隠し』だ。

例えば、修理代30万円の事故を起こして
免責10万円だったとする。

普通に考えれば運転士が負担する修理代は
10万円となり残額は事業者側が保険などで
負担することとなる。

しかし、営業所の所長によっては
保険を使用すると成績に響くため
運転士に修理代を全額負担させて
営業所の事故件数にカウントしない
“暴挙”を行う事業者もあると聞く。

つまり「管理者の自己保身」と言うわけだ。

もちろん事故を起こした運転士にも
責任があるのは間違いないのだが、
管理責任を逃れようとする上司や
社員を守ろうとしない事業者側の姿勢は
問題があるように思う。

修理代の扱いについては事業者によって
対応が異なるため全額負担させるケースは
ブラックな事業者の話になるが、
高額なお金を支払わされるリスクを抱えつつ
ハンドルを握るのはなんとも酷な話である。

安全運転の背景にはリスクを軽減してくれる
事業者側の姿勢も大切だと思っているが
みなさんはどのように感じるだろう?

プロフィール

長年勤めたウェディング業界から路線バス運転士に転職したアラフォーの「こーくん」。メルマガのバックナンバーを公開しています。
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