実は「ホワイト」なバス業界!?

昨今発生しているバス関連の事故を聞くと、
「バス業界はブラックなのでは?」
とイメージされる方も多いだろう。

「長時間労働」
「低賃金」
「少ない休暇」

と三拍子揃うとブラック感は否めない。

しかし、個人的には数ある職種の中でも
「まだマシ」と思っている。

2000年2月。
バス事業が免許制から許可制になり
参入事業者が急増したのは周知の通りである。

世にいう「規制緩和」である。

しかし、激しい価格競争が繰り広げられ、
事業者は運転士の賃金(人件費)を削るなど
厳しい経営を強いられることになる。

『まともな収入を得るためには、
残業や休日出勤をして稼ぐしかない』

そんな時代にバス業界は突入し、
長時間労働や少ない休暇(休日出勤)が
あたりまえの職場となったわけだ。

さらに、据え置かれた賃金や
正規雇用(正社員)の採用を抑制したために
特に若年層の人材が集まらず運転士の高齢化や
人材不足を招いたことは、
昨今メディアでも取り上げられている。

結果、関越道や軽井沢での転落事故と言った
悲惨な事故を誘発し、
さらには民営路線が撤退に追い込まれるなど
ユニバーサルサービスは打撃を受けた。

まさに「失敗」である。

では、このような環境にも関わらず、
なぜ「まだマシ」だと私は考えているのか?

それは…

『世間の関心を集めているから』

の一言に集約することができる。

ご存知の方も多いと思うが、
規制緩和により運転士を取り巻く環境は
悪化の一途をたどることになったが、
2012年に発生した関越道の事故により
高速ツアーバスは高速乗合バスに一本化され、
運転士の実車距離も夜間ワンマン時は
400kmに短縮(特例あり)された。

また、価格競争に関しても
「貸切バス新運賃・料金制度」を
国交省が制定したことにより
実質、再規制の動きになっている。

「粗悪な事業者は淘汰される」
と言う名のもと規制緩和が実施されたが、
事故による世間の関心や批判により
「やはり規制をしなければならない」
と方向転換を余儀なくされたわけだ。

一般人から言わせると
「規制緩和は誤りでした」
と正直に認めて新たに対策を講じたほうが
「潔い(いさぎよい)」と思うのだが、
ともあれ対策を行なった点だけは評価できる。

しかし、世の中には無数の職種がある。

そのような中で行政が対応に乗り出したのは
“尊い人命が失われたから”であって、
まだまだ行政の目が行き届かない
(見て見ぬふりをする)職種は
無数にあるわけである。

「トラックなんてもっと悲惨だよ!」
「育児や介護の現場も人手不足ですよ」

実際、このような声も聞かれたりする
ことを考えれば、
行政が対策に乗り出していることが
メディアを通じて表立っているバス業界は
「まだマシ」と思えるような気がする。

ホワイトと言うと大げさだが、
「ブラックからホワイトに向かっている
グレーゾーンにあるのではないか?」

と言うのが正解かもしれない。

もちろん、価格競争による経費削減から
安全対策が疎かになっていることを指摘
されつつも対策を施してこなかった行政、
発端となる規制緩和を推進した国政、
規制の網を逃れる悪質な事業者は
非難されて当然だと思うし、
責任を追求するのが本来だと思う。

いずれにしても、
バス業界は良くも悪くも注目されているので、
本当にブラックな事業者は
今後淘汰されていくことになるかもしれない。

プロフィール

長年勤めたウェディング業界から路線バス運転士に転職したアラフォーの「こーくん」。メルマガのバックナンバーを公開しています。
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