バス業界にも存在する日勤教育

多くの犠牲者を出した
2005年のJR福知山線脱線事故。

この事故を受けて「日勤教育」と言う
教育方法がクローズアップされた。

ちなみに教育指導と聞くと、
自分が運転する車両に上司が添乗し、
色々指導するイメージを持たれると思う。

しかし、JR西日本で行われていた日勤教育は
事務所中央(他の運転士にも見える場所)で
社訓や反省文を繰り返し書かせたり、
草むしりなど乗務とは関係のない作業を行わせる
「みせしめ」の要素が強いものだった。

これが全ての原因ではないが、
事故直前の伊丹駅でのオーバーランによって
運転士は日勤教育に対するプレッシャーを
感じながら運転したことが間接要因だったことが
事故調査委員会の報告書に盛り込まれ、
「会社によるイジメ」として社会問題化した。

ちなみに事故調査委員会では、
「ほとんど精神論」と日勤教育を断じている。

このあたりの経緯は大きく報道されたことから
記憶に残っている方も多いだろう。

では、バスの運転士はどうか?

残念ながら事業者によっては日勤教育のような
懲罰的な教育は存在する。

幸い、私の会社ではこのような懲罰的な
教育は行われていないが、
他社からの転職者の話によれば
草むしりやバスのワックス掛けなど
乗務させない「下車勤務」が存在すると言う。

本来、下車勤務とは病気や職場会議などにより
乗務外の業務に従事することを指すが、
下車勤務は日勤教育同様、
懲罰的な意味合いで用いられることが多い。

気になる下車勤務の理由だが、

・事故
・アルコールチェックで反応
・早発(出発時刻前に出発すること)
・乗客からのクレーム
・運行経路ミス
・方向幕の誤掲出など

理由となる項目は様々で
具体的な基準が示されている事業者もあれば
管理者によって基準が異なることもあるらしい。

下車勤務に対しては

「真面目に乗務している運転士と区別するべき」

と、運転士の一部には肯定的な意見もあるのだが、

「精神的リンチによって退職を促している!」
「恐怖心を与え運転士を縛っている!」
「下車勤務をさせるほど人に余裕がない!」

と、下車勤務に否定的な意見を持っている
運転士も多い。

ちなみに個人的には下車勤務は必要だと思うが、
草むしりやワックス掛けではなく、
事故を起こした運転士には
“自動車事故対策機構”や
“自動車安全運転センター”と言った
専門機関で講習を受けさせるほうが
有意義であると思う。

また、乗客からのクレームについても
接遇に問題があるのであれば
接遇講習を専門家に依頼するのも方法であろう。

つまり、方法論の問題である。

しかし、それ以上に問題と感じるのは
事故やミスを誘発する環境であろう。

・退勤後、翌日までの休息が8時間しかない。
・13日連続勤務
・余裕のない運行ダイヤ

など、運転士の置かれた環境である。

正直、翌日の休息が8時間と言われても、
そこから通勤や食事などの時間を差し引けば
睡眠時間は5時間にも満たない。

これが13連勤の13日目であれば
疲労も極限に達しているのは言うまでもない。

さらに、道路上は路線バスが保護されることはなく
平然と割り込む一般車やマナーの悪い自転車に
注意しつつ運転しなければならない。

このような極限の状況下で
「ミスなく運転せよ」と言うのは無理である。

これらの要因を取り除いた上で
懲罰を考えるのであれば納得はいくが、
要因は棚上げされ懲罰が先行する動きがあるのが
業界の風潮(体質)であるように思う。

何にでも言えることだが「余裕」は大切である。
待遇や環境を含め運転士に余裕が生まれれば、
事故やミスも多少は減ると思う
が、
そこまで悠長なことを言ってられないのが
業界の実情なのかもしれない。

結果、みせしめなど懲罰的な方法が安易に
入れられてしまうと思うのだがいかがだろう?

最後に、
私の会社では懲罰的なことは行われていない。

そのため、下車勤務は事業者によって
全く考え方が異なる
ことをご理解いただきたい。

プロフィール

長年勤めたウェディング業界から路線バス運転士に転職したアラフォーの「こーくん」。メルマガのバックナンバーを公開しています。
return top